デモをみてから機器搬入そして業務での運用へと、道のりは順調とはいかないものです
土地家屋調査士の測量業務に利用する方法を模索する日々を日記形式で紹介していこうと考えています。下に行くほど日付が古くなります。
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RTKでは土地家屋調査士の要求する精度・再現性を満足出来ないので電子基準点を与点とする2時間半スタティックで運用しています。
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事務所の東隣に南北に長く2階建アパートが建築されてしまいました。固定局から7mの距離に8m弱の高さのアパートの壁が 出来たのでアンテナ高3.365mではマルチパスだらけ固定局をどのようにするか苦慮しています。 |
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電子基準点を使ってサイカ523固定点を計測してみました |
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【特 集 号】 リアルタイムスタティックの検証
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【特 集 号】 観測時間の長さと求まる平均値の変化について |
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【特 集 号】 GPSと光波測距儀との精度の表現の違いについて |
現在も安定した観測方法を模索していますが4段下で掲載した「1台のアンテナから分配器を用いて固定局と移動局に同時接続しゼロメータ観測してマルチパスの影響を調べる」という方法は、不良なデータを双方で観測しても打ち消し合って良好な観測がされているように見せるので意味がないことがわかりました。 | |
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RTK−GPSとスタティックの比較(その3)です。
その3上段右 市道沿い 天空障害 良 アンテナ高3.1m |
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RTK−GPSとスタティックの比較(その2)です。
その1上段右 国道沿い 天空障害 良 アンテナ高3.3m |
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RTKとスタティックの比較(その1)です 6月末に観測した現場です、境界はTSで測量して基準点トラバーは可能な限りGPSにより観測しました。1点あたり1秒観測を20分間(いつもは15分間ですが余裕をみて)1200秒の平均値を観測値とします。梅雨までにTSによる事前測量を終了したいため風が強かったのですが、27点(天空障害 良16点、並9点、悪2点)を無線モデムRTK−GPSで観測する予定で作業を開始しました。天空障害とマルチパスの影響を避けるためアンテナを2m〜3m上げて観測したのですが、画像のとおり風によりアンテナが微振動したみたいで観測値が長い楕円になってしまいました。それと森の中の点では30cmの幹が何本も重なっているため捕捉している衛星数が頻繁に3個になって日中の時間帯では殆ど連続観測が出来ない状態でした。20分間の連続観測の標準偏差も思わしくないので18点観測した時点でスタティックに切り替えることにし、急遽メーカーから4台を拝借して全点を短縮スタティックで観測しました。 RTKとスタティックの結果を比較してみました、全点というわけにはいきませんが掲載してみます。解説は「その2」でさせて下さい。 |
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9月14日は無線モデムが不調になりましたが翌日代替機が航空便で到着しましたので、マルチパスの大小による影響が平均値にどのくらいの変化を発生させるかをアンテナ高を変えて比較するテストを行いましたが代替機との相性が悪いのか尋常でない値が観測されたので、さてはアメリカでの連続テロに対する米軍の報復軍事行動のためGPS衛星を調整しているのではないのかなんてデマを発してしまいました。 無線モデムはまだ戻ってこないのですが、観測値の異常なバラけが気になるので代替機の無線モデムでなくケーブル直結でテストしてみました。右が16日に観測したもの、左が今日18日の観測したもの、今日の観測では80%が5mm以内に入っていて全く正常な観測値になっています。東京でも同様のテストをしてもらいましたが、さすがに高さ124mのビルの屋上だと全て5mm以内に収まっていました。ということは16日の尋常でない観測値は固定局のデータが移動局に正しく伝わらなかったことが原因で、軍事行動のためGPS衛星が調整されていたわけでないことが解りました。 |
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公共測量作業マニュアルでは用地測量の場合10エポック(1秒一回データ取得する場合は10秒間)を2セット観測しXとYの較差が20mm以内ならその平均値を測点の座標値とする事になっています。私は念のため10エポックを10セット観測しその平均をとることにしました。ところがある現場で同一点を2回観測したところ17mmの差が出たので気になり導入時から操作練習している事務所前の駐車場(固定局から32mの距離)で詳しくテストをすることにしました。画像の左の各点は10秒おきに1秒間データ取得で30分間観測したもの、右の各点は10エポック(10秒間)を10セット(10回)観測した平均値です。左の各点はX方向で40mmの中をウロウロどこが中心かわかりません、右の平均値の点も15mm半径の円内をさまよっています。
他メーカの資料をHPで調べるとその観測値は5mm半径の円内に収まっているではないですか。 ナッナンダー!「この器械は5mm+2ppmなんだから32mなら観測値は5mm以内じゃないのか!」とメーカーに怒鳴り込みました。 |
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さっそく東京からGPS担当がこられ、まず最初に「5mm+2ppm(rms)とは2,3分間観測した場合で、1秒とか60秒では10mm+2ppm(rms)になります。それとカタログにも明記してますがこの数値は標準偏差値(rms)です、わかりやすく言えば最良の条件なら約68%は 必ず10mm+2ppm半径の円に入りますよということです。」と いう内容の説明がありました。そこまでカタログを見ていなかったとは恥ずかしくて言葉に出せなかったけれど、あまりにも観測値がバラけている旨を伝えると事務所前の駐車場に立てた1台のアンテナから分配器を用いて固定局と移動局に 同時接続しゼロメータ観測をして「この場所はマルチパスがあります。」とのことでした。マルチパスが影響して観測値がバラけていることは判明したけれど事務所前の駐車場のような現場は今後も出るし事務所南側の内庭の固定局でマルチパスが発生してないか調べるため分配器を自作しました。事務所前の駐車場ではアンテナ高1.45mだと右のようにマルチパスの影響でバラけていますが、たった55cm上げただけで殆どマルチパスが発生しなくなりました。固定局の方は全く発生してないことも確認できました。固定局でのマルチパスは最小限にすることは絶対条件です |
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観測値がバラけるのはマルチパスの影響(器械が不良品でないことも判明)によるものであり、マルチパスを減少させるにはアンテナを高くすれば良いことまでは解決しました。しかし現場と比べると好条件な事務所前の駐車場 (4m市道の北側に面している)でこの調子だと、実際の現場ではもっとアンテナを高くする必要があり移動に支障がでてきます。といってマルチパスを受けたままで公共測量作業マニュアルどおりの10エポック観測をしてもセンチ単位までなので調査士の測量には使えなくなります。導入時からの実験観測の結果を見ていてフッと目に付いたのが平均値でした、観測値の標準偏差や平均値から の較差ばかりに注目していたので気付かなかったのですが過去の長時間観測の平均値は低くアンテナを立てていたためマルチパスの影響を受けていたにもかかわらず数ミリの差しかなかったのです。そこで過去の観測データを分析して、1秒観測を標準15分間してその平均値を求める座標とする測量方法が良いのではないかということで運用してみることにしました。 |
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2000年1月24日 ライカが3台持参で
四等三角点2点と2級基準点を与点にして20分の短縮スタティック観測。与点間距離からだと1級基準点測量になり与点に2級点を入れるのはダメですが、どこかへ提出するわけでないので良と
しました。スタティック測量の計算はライカにしてもらい(私の器械はRTK専用なのでPCで基線解析や平均計算は出来ないので)松江市内を測量する際のサイカ523
固定点の座標値を B=35 27 15.8048 L=133 03 36.6966 X=-60158.263 Y=81098.239 標高=2.32 (3系) とすることにしました。松江市以外の区域を測量する場合は、ライカ独自のRTKによるローカル座標決定機能を使うとXYについては1cm程度の差で求まるので当面は上を固定局座標として使うことにして実用に入りましたが! |
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電話モデムでの通信は可能になりましたが、観測を10秒間する場合、携帯電話で接続をするとダイヤルから観測可能になるまで約1分間、切断に5秒間かかり最低でも75秒間電話をかけることになります。私のドコモの携帯電話は22秒間で10円なので測点1点に40円かかりあまりにも高額です。そこでPHSだと1分間10円なので携帯電話のかわりにPHSを使うことを検討しました。 PHSは携帯電話と異なり通常は一般電話とのデータ通信は困難です。例外なのがDDIポケットで、アルファデータ対応のモデムを使うと一般電話や携帯電話とデータ通信が可能です。 画像の左は月額基本料980円の安心だフォン、右がサン電子の対応モデムD-BOX typeP1です。ACアダプタを使う据置型ですが低消費電力なのでACアダプタの線を切って乾電池ボックスに接続し単3型ニッケル水素充電池で動作させています。これだと携帯電話に比べて20円ですみます。 |
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2000年12月19日 本体と携帯電話モデムと専用ケーブルが到着。電子メールの添付ファイルを使って本体内ソフトを入れ替えました。 2000年12月20日 接続テストを行ったところOK、これで移動局から携帯電話モデムと一般電話モデムを経由して固定局が接続可能となり無線モデムを使用したのと同様に(電話なので距離の制限なし)RTK-GPSを使用した測量が可能となりました。 |
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2000年11月19日
納入が遅れていた携帯電話モデムが到着 2000年11月29日 本体と携帯電話モデムを接続する専用ケーブルが到着 2000年12月3日 移動局の携帯電話から固定局の一般電話を呼び出すテストを行ったが、固定局が全く応答せず。やむなく本体とモデムとケーブルを返送。Leicaでの調査ではケーブルの結線ミスと本体内のソフトが電話モデムのATコマンドに対応してなかったのが原因とのことなので、ソフトの入れ替えとケーブルの作り直しを早急に対処してもらう様に依頼しました。 |
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建物内の縁側に置いている固定局本体と電話用モデムです。 この画像は現在の姿ですが、当初は電話用モデムは接続してなくて送信用無線モデムが接続されていました。でも特定小電力の無線モデムは全く距離が飛ばないため、ネットの無線機のサイトでもっと飛ぶ機種を検索するが9600bps以上の伝送速度が可能なのは特定小電力タイプしかみつかりませんでした。違法に高出力するブースターを接続しようかと考えましたが、電監に機器を没収されるのが怖くて断念しました。デモの際に無線の到達距離に不安があったので携帯電話接続の構成も可能なように発注していたので、固定局を一般電話で移動局を携帯電話にして運用することに決定し納入を催促しました。 |
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2000年11月2日 GPS用3.6m三脚スカイレッグ360とアンテナ設置用3m脚立を購入 固定局は全衛星を捕捉するために天空が開けていることが重要ですが、忘れてならないのが設置した固定局を他人にかってに触られないことも必要です。そこで当事務所南側の内庭に特大三脚を立てることにしました。アンテナ高を3.365mにすると天空障害はありません。固定局本体は事務所建物の内におきアンテナとは10mのケーブルで接続しています。普段は三脚と脚立は立てっぱなしで測量に出かける前に整準台から上を取り付けます。 |
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こちらが移動局。専用2mポールに移動局が全て搭載可能、ロボティック測量器で使っている2脚を使用すると手を離しても自立させることが出来る。 移動局側の受信専用無線ムデムは本体と一体になっているのでアンテナは直付かケーブル接続で1m上げる程度、そこで問題発生!市街地にある事務所付近では無線が200m程度しか飛ばないことが判明、事務所の屋根の上に固定局送信モデムを設置して半径2kmの市内を無線モデム使用で測量する計画が実行不能となる。 |
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2000年9月8日 銀行からの融資決定が降りたので後処理ソフトなしの構成で発注 2000年10月25日 待ちに待ったライカのRTK-GPS530が到着、ただし携帯電話モデムと専用ケーブルは少し遅れるとのことでした。右が固定局本体、左が10mのケーブルで繋がった送信専用の無線モデム、防水ケースに入っているので写真とは別のポールで7mの高さに設置。 |
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2000年2月 1999年に法17条地図作製の際に設置した基準点においてライカ、トプコン、ジオジメータのデモを見せてもらう。100から600mの範囲を観測するがマンションがあると100m以内でも無線モデムが届かない器械があった。法17条作製の際に苦労して測量した4級基準点を10秒程度の観測ですむことに感動して導入しようと考えるようになる。ただし無線モデムの到達距離に不安があるため携帯電話も利用可能な機種を検討する。 |